家族というもの

他人のお家が苦手です。


とくに、水周り。洗面台、キッチン、お手洗い…。
その家庭の密度が凝縮されている気がします。
生活が最も反映されているように思え、「あ、ここは私の居場所じゃない」
と、じんわりと思い知らされます。

流しのしたの骨 (新潮文庫)

流しのしたの骨 (新潮文庫)

流し。これも水周りですね。


でも、この本を呼んでいる間、私は「家庭を覗いている」のではなく、
「家庭の一部になっている」ように感じました。

いまはなにもしていず、夜の散歩が習慣の19歳の私こと子、おっとりとして頑固な長姉そよちゃん、妙ちきりんで優しい次姉しま子ちゃん、笑顔が健やかで一番平らかな‘小さな弟’律の四人姉弟と、詩人で生活に様々なこだわりを持つ母、規律を重んじる家族想いの父、の六人家族。ちょっと変だけれど幸福な宮坂家の、晩秋から春までの出来事を静かに描いた、不思議で心地よくいとおしい物語。

ひとり暮らしをしている私にとって、
奇妙で、でも重ねてきた年月の分、家の中になじんでいる家族行事やふとした発言から連想される幼い頃の記憶についての描写は実家にいた頃の「生活の味わい」を思い出し、暖かく、懐かしい心持になります。


毛布のあったかさ、何もいわなくても、一緒にすごした歳月が変わりに語ってくれること…。


いちばん好きなのは、長女のそよちゃん。
やわらかぁいのに、くっきりとした輪郭を持つ人だな、と感じます。
でも、いちばん近いのは、こと子ちゃんかな…。
初めて出会った時、私は中学生だったのに、いつの間にか、同い年になっていました。


とくに、冬に読みたくなる本。







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