モノカゲをじっと見ていると

本との出合いって、不思議ですよね。
なんとなく手に取った本が、そのときの自分の心の欠けている部分を満たしてくれたり、(「こんな本を探していたんだなぁ」)
反対にずっと積読していて、むしろ、すでに読んだ気になっていた本が、メタクソ面白かったり。(「どうして、この本をもっと早く読まなかったのかなぁ?」)


この本は、国立新美術館で買いました。
高校時代、2時間も掛けて友達と六本木まで行ったのはいい思い出。

ことばの食卓 (ちくま文庫)

ことばの食卓 (ちくま文庫)

真っ白な美術館の中では、うすぼんやりとした物影に目が行きます。
この本にも、同じような物影の空気を感じます。
どこかに潜む、死や悲しみの影。
 

「お弁当」というエッセイがいちばん好きです。
小学生ながらの不安、恨み。そして、社会というものを少しずつ知り始める頃。
本当は奇妙であるはずの出来事も、当たり前のように書かれていて、その隠されている違和感。



子供たちの声でにぎやかであったであろう教室から、記憶に残っている静かな部分だけ抽出していて…。小さい頃、わけも無いのに、物影に隠れて息を沈めていた頃の心持ちを思い出させてくれます。





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